工務監督への転職を考えているなら、まず自分がこの仕事に向いているかどうかを確認してほしい。向いている人の条件を一言でまとめると、特別な人間が求められているわけではない。船と機械への興味、普通に会話できること、自分で考えて動けること、素直さ、おおらかさ——どれも突出した能力ではない。ただ、これらがバランスよく揃っている人が、長く活躍できる工務監督になっていく。今回は、現役工務監督の視点から詳しく解説したい。
適性のある人の背景
向いている人を考えるとき、まずベースとなる知識の話をしておきたい。
最も適性があるのは、船のことを少しでも知っていて、かつ機械のことも少しでも知っている人だ。船乗り(特に機関士)出身者はこの点で有利だ。
ただし船乗り出身者だけが適性があるわけではない。造船所で機関系の工事を担当していた人も親和性は高い。またプラントエンジニアも適性があるかもしれない。船は大きくとらえれば、様々な機器類が関係して動くプラントとも言えなくはないからだ。機器の相互関係を理解できる人は、船の世界でも感覚をつかみやすい。
コミュニケーション能力——普通でいい
資質と性格については一概には言えないが、現代においてはコミュニケーション能力が問われる。
造船所・メーカー・乗組員・社内の営業部など、多くの人と日々やり取りしながら仕事を進める必要がある。ひと昔前は個性的な工務監督も多くいた。しかし今はそれだけでは通らない場面も増えてきた。
ただし、ものすごく高いコミュニケーション能力が求められるわけではない。普通に会話ができれば問題ない。気構えすぎなくていい。
指示待ちの人は難しい
現場に出たとき、工務監督は基本的に一人で判断しなければならない。マニュアルが整備されているわけでもない。臨機応変な対応が常に求められ、判断して指示を出す側だ。
指示を待つ癖がある人には、この仕事は難しい。自分自身で考えて動ける人が向いている。誰かに言われてから動くのではなく、状況を読んで先に動ける人だ。工務監督の仕事は、受け身では成り立たない。
素直さとおおらかさ
もうひとつ、素直さも大切な資質だ。知らないことを素直に認め、教えてもらえる人は成長が早い。知ったかぶりは後々自分の首を絞める。
加えて、いくらかのおおらかさも必要だ。船の世界では予定がコロコロと変わる。入渠日程が変わる、不具合が突然発生する、部品の納期が延びる——こうした変化は日常茶飯事だ。そのたびに腹を立てていると身が持たない。「まあ、そういうものだ」と受け流せるおおらかさが、長く続けるためには欠かせない。
早々に辞めてしまう人の傾向
残念ながら、この仕事を早々に辞めてしまう人もいる。共通して見られる傾向がある。
ひとつはワークライフバランスを強く重視する人だ。船の世界は予定が変わりやすく、時間の管理が難しい場面が多い。もうひとつは変化の激しい状況に耐性が低い人だ。不具合・日程変更・関係者間の調整——次々と変化する状況に消耗してしまう。そして、この仕事を受け身でこなせると思っていた人も続かないことが多い。工務監督は能動的に動いてこそ機能する仕事だ。
長く活躍する人のやりがい
長く活躍している人には共通点がある。この仕事にやりがいを見出しているということだ。
やりがいは人それぞれだが、基本的には自己満足の世界だ。不具合を早急に解消したときの達成感。自分が手がけた船が海を走っている姿を見たときの充実感。新しい技術を導入してそれがうまくはまったときの手応え。他部署や船員から頼りにされているという実感——こうした積み重ねが、この仕事を続ける原動力になっている。
転職を考えているなら、まず自分自身と照らし合わせてみてほしい。



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