工務監督は会社の中でどんな立場なのか

ボクシング 工務監督の仕事

工務監督がどんな仕事をしているか——これまでの記事で触れてきた。今回は少し視点を変えて、工務監督が会社の中でどんな立場にあるのかを書いてみたい。

工務部という部署

工務監督が所属する部署は、会社や規模によって「工務部」「船舶管理部」など名称は様々だ。ただ業務内容は大きく変わらない。このブログでは工務部で統一する。

工務部の役割は、会社の資産である船舶の管理だ。大きくは船舶の建造と維持管理を担う。

会社には他に、船の営業に関わる営業部・運航部、そして船員の採用・労務管理や海技を管掌する部署がある。大きくこの3つの部署が連携して、船の運航を支えている。

工務部が最終判断を下す場面

大前提として、会社は安全運航を第一に考えている。

船にトラブルが発生したとき、「そのまま運航しても問題ないレベルか、それとも止めて修理が必要か」——この判断を下すのが工務部だ。この判断に、他の部署が異を唱えることはない。工務部はその判断をもとに、速やかに復旧へ向けて動く。

ここだけを見れば、工務部の発言力は強い。しかし実態はもう少し複雑だ。

営業部との関係——調整と交渉の日々

トラブル発生後、不具合の原因や再発防止策を報告する場面では、営業部との間で意見が食い違うことがある。

営業部には、工務部の報告内容に強い関心がある。顧客に迷惑をかけている場合、営業部はその内容をもとに顧客へ報告しなければならないからだ。だからこそ、工務部からの報告内容には細かく目を通してくる。報告が不明確だったり、説明が不足していれば、営業部は顧客に説明できない。工務部の報告は、営業部にとっても重要な情報源だ。

報告内容は正直に、かつ納得感のあるものでなければならない。営業部は機械の細かいことはわからない。工務部が普段使っている言葉では伝わらない。相手にわかる言葉に置き換えて説明する力が、工務監督には求められる。

入渠日程をめぐる調整も頻繁に発生する。営業スケジュールの都合で「入渠日程をずらせないか」という相談が営業部から来ることがある。工務部としてはやれる範囲で造船所と日程を揉む。しかし造船所には他の入渠予定船もあり、検査の期限が迫っている場合はずらすことが不可能なケースもある。

営業部の発言力と、譲れない一線

営利企業である以上、営業部の発言力が強いのはうなずける。売上を作っているのは営業部だ。

しかし営業部の言うことを聞いてばかりでは、工務部として船舶という会社の資産を守る責任を全うできない。譲れない一線はある。筋は通さなければならない。そこだけは、どんな状況でも曲げてはいけないと思っている。

普段のコミュニケーションが武器になる

だからこそ、普段から営業部との何気ないコミュニケーションを欠かさないようにしている。営業の状況はどうか、何を考えているのか——日頃からサーチしておけば、営業部の要望への理解が深まる。ストレートな回答ができない場面でも、代替案を提示できることがある。関係は、いざというときだけ作ろうとしても遅い。

社内コンサルティング部門?

もうひとつ、工務部の特徴がある。何かと頼りにされる存在だということだ。

船に関することはもちろん、時には船とは直接関係のない機械的なことまで相談が来る。社内のあちこちから声がかかる。時に社内コンサルティングばかりしているような気になることもある。

それだけ工務部の知識と経験が、会社の中で必要とされているということでもある。頼られるのは悪い気分ではないが、本業が押されないよう、バランスをとりながら動いている。

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