入渠の流れ②——ドック編・工務監督は現場で何をしているのか

監督室と現場を、何度も往復する 仕事・キャリア

前回は入渠の準備について解説した。今回は、船が造船所に入ってからの工務監督の動きを紹介する。

入渠当日——船を迎える

造船所に到着

入渠当日は、船がドックに到着する前に造船所に入る。作業着に着替え、船が到着するころには岸壁で待機する。造船所の作業員もすでに現場に集まっており、タグボートのエンジンもかかっている。

船が岸壁に着岸するときは、全体に目を配る。何か異常がないか。船の状態はどうか。安全に着岸するまで気は抜けない。

着岸直後のバタバタ

着岸直後は、船員・造船所の技師・作業員が入り乱れてバタバタする。船員は機器類の手じまい作業に追われる。造船所は係船の調整をしながら、技師や作業員が続々と乗船し、各自の持ち場で作業を始める。

この騒然とした状況が徐々に落ち着いてきたタイミングで、造船所技師・船員・工務監督が集まり、工事仕様書の読み合わせと工程の確認を行う。ここで全員が工事の内容と段取りを共有する。

上架——まず船底を確認する

上架したとき、工務監督がまず向かうのは船底だ。

貝の付着状況はどうか。船底にダメージはないか。プロペラは曲がっていないか——普段は海の中に沈んでいて見えない部分を、この機会に目で確認する。ドックに入らなければ絶対にわからない部分だ。ここで予想外の損傷が見つかることもある。

入渠中の1日の流れ

入渠中は、一人で業務をする。現場にいると、一日があっという間に過ぎてしまう。
そんな入渠中の一日を紹介したい。

朝——ラジオ体操から始まる

入渠中は造船所の定時に出勤する。工務監督には「監督室」という個室が割り当てられるので、まずそこでメールを確認する。

造船所ではラジオ体操をするところが多い。工務監督もそこに混じって参加することがある。造船所のリズムに合わせて動くことが、現場との距離を縮めることにもつながる。

午前——現場を見て回る

ラジオ体操の後は船に入り、乗組員と話をしながら現場を見て回る。昨日から今日にかけて工事はどう進んだか。気になる箇所はないか。目で見て、話を聞いて、状況を把握する。

昼以降——監督室と現場を行き来する

午前中の現場確認が終わると、監督室に戻って事務作業をする。書類の確認、メールの返信、本社への報告——事務所と変わらない仕事もドック中には続く。

技師や乗組員から「確認してほしい」「相談がある」と電話が入れば、すぐに現場に出て確認・打ち合わせをする。監督室と現場を何度も行き来しながら、工事の進捗を管理していく。

夕方——明日の準備をして帰る

夕方は造船所の定時で作業が終わる。しかし工務監督の仕事はそこで終わらない。定時後も監督室に残り、事務作業をして翌日の準備を整えてから着替えて帰宅する。

入渠中は現場に張り付きながら、事務作業もこなす。体力的にも精神的にも密度の濃い日々が続く。

次回は入渠の第3回——検査の立ち合い・機器の開放・下架までの様子を解説する。

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