前回は検査・開放の様子を紹介した。今回はいよいよ最終回——下架から出渠、そして入渠工事が完全に終わるまでの流れを解説する。
下架後——すぐには終わらない
係留試運転——船を浮かべてからの確認
下架をして船が浮いても、そこで工事終了ではない。まずは造船所の岸壁に船を係留する。
ここで行うのが、整備した機器類の試運転だ。もちろんエンジンも対象になる。上架中に水を抜いているので、水を張り直したり、バルブの開け忘れがないかを確認したりする。試運転の状況は検査官にも確認してもらう場合もある。
係留した状態で機器の作動に問題がないことを確認できて、初めて次の段階に進める。
海上試運転——最大回転数まで上げて確認
係留試運転で問題がなければ、海上試運転を行う。時にはエンジンの最大回転数まで上げて計測を行い、各部に異常がないことを確認する。実際に海の上で動かしてみて初めてわかることもあるため、この試運転は欠かせない工程だ。
すべて問題がなければ、造船所に戻る。
完工確認——読み合わせとサイン
工事完工書の読み合わせ
造船所に戻ったら、造船所技師と工事完工書の読み合わせを行う。発注した工事がすべて完了しているか、残工事が残っていないかを一つひとつ確認していく。問題がなければサインをする。
この読み合わせをしている間、船外では塗装の仕上げ工事が、船内では後片付けと清掃が同時並行で進められている。
すべての工程が終われば、いよいよ出渠だ。
出渠の瞬間——ほっとする瞬間
船が造船所のドックを離れ、出航していく。この瞬間、工務監督はほっとした気持ちになる。何ヶ月もの準備、入渠中のトラブル対応、検査の立ち会い——その全てが形になる瞬間だ。
しかし、工務監督の仕事はここで終わらない。
事務所に戻ってからも仕事は続く
出渠が終わってからも、入渠工事の報告書を作成し、各業者からの請求書を精査・取りまとめる作業が待っている。これらをすべて終えて、ようやく一連の入渠工事が完了したと言える。
現場での緊張感がある仕事も多いが、最後はこのような事務作業で締めくくられる。準備から出渠後の事務処理まで、長い工程を経て、船はまた次の航海に出ていく。
入渠・検査シリーズを振り返って
4回にわたって入渠の流れを解説してきた。準備・ドック・検査・出渠——それぞれの工程に、工務監督としての判断と地道な積み重ねがある。船を安全に送り出すという仕事の全体像が、少しでも伝われば嬉しい。



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