前回はドックでの1日の流れを紹介した。今回は入渠の山場——検査と機器の開放について、工務監督の視点から解説する。
検査当日——特別なことはしない
検査があるからといって特別な事はしない
入渠中、検査は複数回にわたって行われる。しかし検査当日だからといって、特別な事をするわけではない。
工務監督としてまずすることは、検査を受けられる状態になっているかを現場で確認することだ。機器は開放されているか。必要な書類は揃っているか。整備は完了しているか——検査官を迎える前の最終確認だ。
検査の現場での工務監督の役割
ドックでの検査は、基本的に造船所の技師と検査官の間で進められる。工務監督の役割は、立ち会いをすることがメインだ。
ただしひとつ、工務監督にしかできない役割がある。検査の過程で検査官から船の運用状況について質問されることがある。そういった質問には造船所の技師では答えられない。運転記録・整備履歴・乗組員からの情報——日頃から船を管理している工務監督だからこそ答えられる質問だ。
機器の開放——想定外のことが起きる
合格できる状態で検査官に臨む
機器の開放検査では、まず開放して整備をし、交換できる部品は交換する。検査官に確認してもらう段階では、合格できる状態に仕上げておくことが原則だ。
部品の納品が間に合わない場合は、納品予定日を検査官に伝え、次回検査時に改めて確認してもらうといった対応をすることもある。
ボルトが外れない・穴が開く——現場のリアル
開放の過程では様々なことが起きる。錆びついてボルトが外せないことはよくある。錆打ちをしていたら穴が開いてしまうこともある。こういったことは日常茶飯事だ。
想定外の発見もある。主機の軸受けメタルが想定以上に摩耗していたことがあった。開放してみて初めてわかることが、ドック整備の怖いところでもあり、やりがいでもある。
下架前の最終確認——二度と見られない場所を確認する
すべての工事と検査が終わり、いよいよ下架となる。その前に工務監督として必ず行う確認がある。
船底の最終確認
まず向かうのは船底だ。一度海に浮かべてしまうと、船底の状態は確認できなくなる。下架前のこの瞬間が、最後のチャンスだ。
確認するのは主に3点だ。船底塗装の状態はどうか。防食亜鉛はすべて取り付けられているか。シーチェストの中に問題はないか——ひとつひとつ目で確認して、初めて下架のゴーサインが出せる。
次回はいよいよ最終回——出渠後の手続きと振り返りを解説する。



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