工務監督の仕事は、船を管理することだけではない。造船所、メーカー、代理店——多くの業者と日々やり取りしながら仕事を進めていく。この「人との付き合い方」が、仕事の質に大きく影響する。
自分が上手く付き合えているかと問われれば、胸を張って公言できるほどうぬぼれてはいない。ただ、少なくとも下手ではないとは思っている。今回は、工務監督として意識していることを書いてみたい。
客と業者ではなく、人と人の付き合い
工務監督と造船所・メーカーの間には、発注する側と受注する側という立場の違いがある。しかしそれ以前に、人と人の付き合いだ。
立場を前面に出して上から接するような態度は、基本的にとらないようにしている。相手にも仕事があり、都合があり、プライドがある。そこを無視して押し通すやり方は、短期的には通っても、長期的には必ずどこかで歪みが出る。
譲れる部分は譲る
相手の立場を理解しながら、譲れる部分は譲る——これを意識している。
すべての交渉でこちらの要求を100%通そうとすれば、相手は疲弊する。次に頼むときの空気が悪くなる。こちらが少し引けるところは引いて、相手が動きやすい状況を作ることが、結果として仕事をスムーズに進めることになる。
義理人情の世界、とでも言えばいいだろうか。ビジネスライクな付き合いではなく、人間関係の積み重ねで仕事を動かしていくイメージだ。
それでもパワープレイに出るとき
ただし、いつも穏やかにというわけではない。
先方にミスがあり、そのフォローも下手なとき——こういう場面では、立場を使って強く出ることがある。ミスそのものは仕方ない部分もある。しかしその後の対応で、相手の誠意と能力が問われる。フォローが誠実であれば、強く出る必要はない。問題はフォローがなっていないときだ。そういうときに黙っていては、こちらの船が困る。船員が困る。会社に損害を与えてしまう。毅然と出ることも、工務監督の仕事のひとつだ。
信頼関係は、情報交換できる間柄で測る
信頼関係が築けたと感じる「瞬間」というものは、実はない。気づいたらそうなっていた、というものだと思っている。
ひとつの目安として、お互いに情報交換できる間柄になれたかどうかがある。表の情報だけでなく、「実はこういう状況で」「こういう方法もある」といった裏の情報まで共有できるようになれば、信頼関係が構築できたと考えていい。
そういう関係は、一朝一夕には作れない。日々のやり取りの積み重ねの中で、少しずつ醸成されていくものだ。
結局は人だ
造船所もメーカーも代理店も、そこにいるのは人間だ。組織の論理や立場の違いはあっても、最後は人と人の関係で動いている部分が大きい。
上からいかない、譲れるところは譲る、しかし譲れないところは毅然と出る。そして時間をかけて情報を共有できる間柄を作っていく。これが、工務監督としての自分なりの流儀だ。



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