遠心ポンプとは何か——仕組みと船での使われ方

船で一番使われているポンプの話 船のこと

船の中には無数の配管が張り巡らされており、そこに流れる液体を送り出す役割を担っているのがポンプだ。その中でも最もよく使われているのが遠心ポンプだ。今回は遠心ポンプの仕組みと、船での使われ方について解説する。

遠心ポンプの仕組み——概要

遠心力を利用して液体を送る

遠心ポンプは、遠心力を利用して液体を送り出すポンプだ。基本的な構造は非常にシンプルで、ケーシング(外側の容器)の中にインペラ(羽根車)が入っている。

仕組みはこうだ。モーターでインペラを高速回転させると、インペラの中心部の圧力低下により流入する。流入した液体は遠心力によって外側に向かって飛ばされ、ケーシングの出口から送り出される。洗濯機の脱水槽をイメージするとわかりやすい。水が外側に飛ばされる力を利用して液体を送り出している。

回転するインペラから出た液体の速度は、ケーシングを通過する間に徐々に減速し、圧力に変換される。この圧力が液体を配管の先まで押し出す力になる。

遠心ポンプの種類

遠心ポンプには大きく2種類がある。

渦巻きポンプは、インペラの外周に案内羽根がない構造だ。単段の場合は、比較的低~中程度の揚程(液体を押し上げる高さ)に使われる。構造がシンプルでコストが低く、船でも広く使われている。

タービンポンプ(ディフューザーポンプ)は、インペラの外側にディフューザーと呼ばれる案内羽根を設けた構造だ。渦巻きポンプより高い揚程が必要な場合に使われる。

遠心ポンプの特徴

遠心ポンプの主な特徴は以下の通りだ。

構造がシンプルで保守費用が低い。流量が大きく連続的に液体を送り出せる。清水・海水・油・薬品など幅広い流体に対応できる。

船での使われ方

遠心ポンプは船内の様々な場面で使われている。主なものを挙げると以下の通りだ。

主機冷却海水ポンプ

エンジンを冷却するために海水を循環させるポンプだ。主機の冷却に直結するため、船の運航において重要な役割を果たす。

主機冷却清水ポンプ

海水で直接エンジンを冷やすのではなく、清水を循環させてエンジンを冷却し、その清水を海水で冷やす方式に使われるポンプだ。

雑用水ポンプ

船内の雑用水(洗浄・消火・その他)を供給するポンプだ。

このほかにも、バラスト水の注排水、燃料油・潤滑油の移送など、船内の多くの場面で遠心ポンプが活躍している。

現役工務監督から見ると——よくある不具合

遠心ポンプの不具合で工務監督として対応することが多いのは、メカニカルシールからの漏洩だ。メカニカルシールとは、回転するシャフト(軸)と固定されたケーシングの間から液体が漏れないようにするための密封装置だ。消耗品であるため、経年劣化で漏洩が発生しやすい。

ベアリングの損耗による異音も発生したりする。ひどくなると、軸ブレを起こすので交換をする。

海水で使用しているポンプは、インペラが経年で腐食して薄くなることがある。インペラが薄くなると送液能力が低下する。さらに古くなってくるとケーシング自体が腐食してくることもある。海水は金属にとって過酷な環境だ。定期的な点検と適切なタイミングでの部品交換が、ポンプを長く使い続けるための鍵になる。

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