船のディーゼルエンジンとはーー仕組みと工務監督が気を使うポイント

圧縮で着火する 船のこと

船を動かす心臓部——それがディーゼルエンジンだ。陸上でも車やトラックに使われている身近なエンジンだが、船のものはスケールも仕組みも大きく異なる。

今回はディーゼルエンジンの基本的な仕組みと、船特有の特徴について解説する。

ディーゼルエンジンの仕組み——概要

ディーゼルエンジンとは何か

ディーゼルエンジンは、ピストンでシリンダ内の空気を圧縮して高温にし、そこに燃料を噴射して自然着火させることで動力を得る内燃機関だ。ガソリンエンジンがスパークプラグで点火するのに対し、ディーゼルエンジンは圧縮熱だけで着火する。自転車のポンプを思い切り押すと熱くなるのと同じ原理だ。

4ストロークと2ストロークの違い

ディーゼルエンジンには4ストロークと2ストロークの2種類がある。

4ストロークは「吸気→圧縮→燃焼→排気」の4行程をピストンが2往復する間に行う。
クランクシャフトが2回転して1回の燃焼が起きていることになる。

2ストロークは「吸気・圧縮→燃焼・排気」の4行程をピストンが1往復する間に完結させる。
クランクシャフト1回転で1回燃焼する。
4ストロークに比べて回転数は低いが、大きなトルクを生み出せる。大型船の主機(メインエンジン)に多く採用されている。

項目4ストローク2ストローク
燃焼回数クランク2回転で1回クランク1回転で1回
回転数比較的高回転低回転
特徴効率が高い・環境性能が良い大トルク・シンプルな構造
船での主な用途補助機関・中小型船の主機大型船の主機

低速・中速・高速エンジンの区分

エンジンは回転数によって低速・中速・高速に分類される。
文献によって、多少の違いはあるので、参考まで。

区分回転数の目安ストローク主な用途特徴
低速エンジン70〜200rpm程度2ストローク外航大型船の主機プロペラと直結・大口径プロペラを低回転で駆動・燃費が良い
中速エンジン200〜1,500rpm程度4ストローク内航船・フェリー・タグボートの主機・発電機用減速機を介してプロペラを駆動・コンパクト
高速エンジン1,500rpm以上4ストローク小型高速船・モーターボート軽量・高回転

外航大型船舶の場合、約80%には低速2ストローク機関が採用されている。フェリーなどでは中速機関が多く使用されている。日本の内航船舶の場合には、日本独特の4サイクル低速機関が多く使用されている。

船のエンジンは車と何が違うのか

最も大きな違いは、その大きさだ。大型船の主機ともなると、高さが十数メートル、重量は数百トンに及ぶものもある。エンジン一基の中に作業員が入って整備できるほどの大きさだ。出力も桁違いで、数万馬力に達するものもある。

また船のエンジンは、重油を燃料とすることが多い。

現役工務監督から見ると——気を使うポイント

超重要機器

エンジンで発電機を回して電気を作る。プロペラを回して船を推進させる。
エンジンが止まったら船の運航に直結する。

エンジンの不具合は、些細な事でも気になってしまう。不具合が発生したら敏感に反応する。
一方で、エンジンに不具合が起きてもすぐに止める事ができない場合も多い。なぜならば不具合が起きるのは、必ず船が動いているときだからだ。
エンジンが止まってしまったらあきらめもつくが、まだ動ける場合は、周囲の船舶の状況も踏まえ、安全な海域まで、または受け入れてくれる造船所まで運航する事ができるかの判断を、瞬時に行わなければならない。

エンジンの制御系

エンジン本体と同様に気を遣う部分は、エンジンの制御だ。
回転数制御・遠隔制御など、船橋や機関制御室からエンジンを操作するためのシステムが、正常に機能しているかどうかは、船の安全運航に直結する。

機械的な部分は目で見て確認できるが、制御系は不具合が発生しても原因の特定が難しいことがある。整備記録をきちんと管理しながら、専門メーカーと連携して対応することが重要になる。

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