6月19日午前3時30分頃、琉球海運の大型RORO船「にらいかないⅡ」(総トン数11,687トン)が、東京都利島村西方の岩場に乗り上げた。乗員17名にけがはなく、油の流出も確認されていないが、6月23日時点でまだ離礁には至っていない。
Xでは、現地の方や海運に興味を持つ方が情報を発信されている。
今回は、この事故の経緯と、座礁事故が起きたときにどう動くのかを解説したい。
事故の経緯
「にらいかないⅡ」とはどんな船か
「にらいかないⅡ」は2017年就航の沖縄航路最大級のRORO船だ。全長約181.5メートル、総トン数約11,687トン。東京・大阪・沖縄を結ぶ航路を運航し、トレーラーシャシー・乗用車・建設機械などを輸送している。大阪から東京に向かう途中の早朝3時半、利島灯台から南西方向1キロ付近の岩場に乗り上げた。
離礁作業の現状
事故から翌20日午後に日本サルヴェージの大型作業船「航洋丸」が現地に到着。その後応援のタグボートと警戒監視?の七島丸が到着して離礁作業が始まった。満潮のタイミングに合わせて半日置きに曳き出し作業を繰り返しているが、しっかりと乗り上げてしまっているため、23日夕方時点でまだ離礁には至っていない。
23日夜には、さらに応援のタグボート2隻が利島に到着している。大型作業船1隻とタグボート3隻で作業を行うようだ。利島の23日夜の満潮は23時22分。夜を徹しての作業が続いている。
座礁事故が起きたとき——誰がどう動くのか
船主は保険会社に連絡する
座礁事故が発生したとき、船主がまず動くのは保険会社への連絡だ。船には船体保険・P&I保険(船主責任保険)といった保険が掛けられており、座礁事故はこれらの対象となる。
保険会社、または船主はサルベージ会社に連絡し、サルベージ会社が作業船やタグボートを手配して現場に向かうという流れになる。
日本のサルベージ会社
日本には主に2つのサルベージ会社がある。深田サルベージ建設と日本サルヴェージだ。今回は日本サルヴェージの「航洋丸」が現場に到着している。
現場にはサルベージ会社の作業船以外にもタグボートが複数集まっているが、これらはサルベージ会社が手配したものだ。現場ではサルベージ会社の現場指揮者が全体の指揮をとる。
今回の離礁作業の特徴
今回のケースでは、大型船がしっかりと岩場に乗り上げてしまっている。このような場合、タグボートとRORO船をロープで繋ぎ、満潮のタイミングに合わせてタグボートで曳き出す作業を繰り返すのが基本的な手順だ。満潮時は水位が上がり船底への浮力が増すため、曳き出しやすくなる。
船主が最も心配すること——油流出
座礁事故において、船主・船会社が最も神経をとがらせるのは油流出だ。
積み荷の損傷や船体ダメージは、関係者間の保険処理で対応できる範囲の話だ。しかし油流出は、海洋環境への影響が広範囲に及ぶ。周辺の漁業・観光・自然環境に取り返しのつかないダメージを与える可能性があり、地域社会への影響も計り知れない。
今回、利島村長も「作業時における船体損傷による油流出防止策の徹底」を強く要望したと報じられている。離礁作業が長引くほど、岩場と船体の摩擦による損傷リスクが高まる。台風接近や海況の変化という時間的制約の中で、いかに油流出を防ぎながら離礁を成功させるか——それが今この瞬間も続いている。



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