琉球海運「にらいかないⅡ」座礁事故——離礁成功までの経緯を工務監督の視点で見る

時事・ニュース解説

2026年6月19日に発生した琉球海運「にらいかないⅡ」の座礁事故は、多くの海事関係者の注目を集めた。

事故発生後は離礁作業が難航し、一時は台風接近による作業中断も余儀なくされた。しかし、その後サルベージ作業が進められ、7月3日夜、本船は離礁に成功し、現在は館山へ向けた曳航作業が進められている。

今回は事故発生から離礁までの経緯を時系列で整理し、工務監督の視点から振り返ってみたい。
また、本記事の作成にあたり、現地からの情報を発信してくださったXユーザーの皆様に感謝申し上げます。


事故の経緯——時系列

6月19日 03:30

大阪から東京へ向け航行中だったRORO船「にらいかないⅡ」が、東京都利島付近で座礁した。
乗員17名に負傷者はなく、油流出も確認されなかった。

6月19日

琉球海運が事故第1報・第2報を発表。
ダイバーによる船底調査が開始され、一部区画への浸水が確認された。

6月20日

タグボートおよびサルベージ関係船が現地に到着。
離礁に向けた作業が本格的に始まった。

6月22日頃

日本サルヴェージの救助船「航洋丸」が現地に到着し、離礁作業に加わった。

6月25日~27日頃

台風7号・8号の接近に伴い作業を一時中断。
船固めや油濁防止措置を実施したうえで、乗組員や関係者が退避した。

7月1日

燃料タンク内の油抜き取り作業が完了。
油流出は発生せず、離礁作業再開に向けた重要な工程を終えた。

7月3日夜

離礁作業が完了。
その後、本船は館山へ向けた曳航作業に移行した。

7月3日 救助に関わった船(過去記事リンク。タグボートとは?)

船名運航会社
航洋丸日本サルヴェージ
航洋丸日本サルヴェージ
清和丸新日本海洋社
双葉丸福島汽船
第2七島丸(警戒船?)

その他、海上保安庁から三管区下田海上保安部所属の「しきね」が、作業を見守っていた。
航洋丸が2隻なっているが間違いではない、日本サルヴェージは、同じ船名の船舶を2隻運航している。

なぜ燃料を抜いたのか——工務監督の視点

今回のサルベージで重要な工程のひとつが燃料抜き取りだった。理由は大きく二つある。

船体重量の軽減

船を岩場から引き離すには、できるだけ船体を軽くし、浮力を回復させることが重要になる。大量の燃料を積んだままでは、タグボートの負荷も大きくなる。

油流出対策

離礁時には船体に新たな応力がかかる。万一、損傷部が拡大した場合でも、タンク内の燃料を減らしておけば環境リスクを大幅に低減できる。

結果として、燃料抜き取り作業は離礁成功と環境保護の双方に寄与した重要な工程だったと言える。

工務監督から見ると

今回の事故では、

  • 大型RORO船の座礁
  • 長期化するサルベージ作業
  • 台風接近による作業中断
  • 油流出防止対策

という複数の課題が同時に存在していた。

ニュースになるのは離礁成功の瞬間だが、その裏ではダイバー調査、船底状況の確認、タグボートの投入、燃料移送、気象判断など、多くの地道な作業が積み重ねられている。

特に印象的だったのは、最後まで油流出を発生させなかったことである。環境保全と離礁作業を両立させながら対応した関係者に敬意を表したい。

また、今回の離礁作業では、燃料抜き取り、サルベージ船の投入、タグボートによる曳き出しなど、海難救助の基本とも言える手順が着実に積み重ねられた。その積み重ねが最終的な離礁成功につながったと考えられる。

離礁はゴールではない。

今後は館山到着後の詳細調査によって、船底損傷の程度や修理方針、そして事故原因の解明が進むことになる。

工務監督としては、サルベージの技術面だけでなく、今後公表される事故調査結果にも注目していきたい。

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