船舶の定期検査・中間検査——検査の内容とインターバルを工務監督が解説

違いは、機器をどこまで開けるか 工務監督の仕事

船舶の定期検査・中間検査——検査の内容とインターバルを工務監督が解説

船舶検査とは何か、という基本的な解説は別の記事で行った。今回はその続編として、定期検査と中間検査の内容・インターバル・準備について、整理をしてみた。

実務者の方にはあくまで参考にとどめて頂き、実際は、検査官の見解に従っていただきたい。

一般的な貨物船に該当する部分は、太字で強調する

定期検査と中間検査

まず検査の種別とインターバルを整理する。

定期検査

定期検査の証書有効期間は原則5年(平水区域の旅客船以外・20トン未満は6年)。

受検期間は有効期間満了日の前3ヶ月以内

船の種類有効期間受検期間
旅客船・危険物ばら積船・特殊船・ボイラを有する船舶等5年有効期間満了日の前3ヶ月以内
上記以外の一般船舶5年有効期間満了日の前3ヶ月以内
旅客船以外で平水区域の船舶・総トン数20トン未満の小型船舶6年有効期間満了日の前3ヶ月以内

中間検査

船の種類受ける種別インターバル受検期間
旅客船・原子力船・水中翼船等第1種中間検査毎年基準日の前後3ヶ月
国際航海・条約適用船(長さ24m以上)第1種+第2種中間検査第1種は2年ごと/第2種は毎年基準日の前後3ヶ月
平水区域の船舶・20トン未満の小型船舶第1種中間検査定期検査の中間年基準日の前後3ヶ月
上記以外の一般内航船第1種中間検査おおむね2年半前後基準日の前後3ヶ月

中間検査の種別

種別内容
第1種中間検査定期検査に準ずる比較的詳細な検査
第2A種中間検査定期検査合格後2回目又は3回目の第2種中間検査(やや強化)
第2B種中間検査毎年の検査基準日前後3ヶ月以内に行う通常の第2種中間検査
第3種中間検査条約適用船が船底検査等を分離して行う形態
特1中旅客船の第1種中間検査のうち、定期検査合格後2・3回目の強化検査

定期検査・中間検査の内容比較

この表の検査項目は大きく括られている。さらに詳細な項目に分かれていることは留意願いたい。

検査項目定期検査第1種中間検査第2種中間検査
船体外部外観検査外観検査外観検査
船体内部・タンク建造年数に応じた内検(範囲広)状況に応じて実施原則省略
主機(内燃機関)完全解放(シリンダカバー取り外し・クランク軸測定等)解放(クランクピン受金は3分の1)外観検査+作動試験
補助機関・補機完全解放外観検査+解放(一部)外観検査+作動試験
プロペラ・軸系プロペラ軸抜き出し等外観検査外観検査
救命・消防設備全般検査+効力試験外観検査+効力試験外観検査+作動試験
海上試運転実施状況に応じて実施原則省略

検査の省略制度

船舶安全法の規定には、一定の条件を満たした場合に検査の一部を省略できる制度がある。

省略の条件内容備考
製造後11年未満の内燃機関保守整備記録・事情聴取から検査官が認めれば、解放検査を効力試験(海上運転)に代えられる旅客船は平水・限定沿海区域の船舶に限る
稼働時間が少ない機関前回解放検査後の使用時間が次回定期的検査時期までに7,000時間を超えないと推定される場合、解放検査を外観検査・運転検査に代えられる解放検査の間隔は最長10年まで
発電機駆動の補助機関が2台以上定期と第1種中間で半数ずつ交互に解放検査とし、残りは効力試験とできる
整備記録が良好な場合空気圧縮機・こし器等は保守整備記録から検査官が認めれば解放検査の立会いを省略できる
機関計画保全検査制度製造後15年未満または累積運転時間75,000時間以内の機関で適切な保守管理体制が認められる場合、定期的検査での解放検査を省略できるISM関係書類・機関保全計画書等の申請が必要

きちんと船を管理・整備していることを書類で証明できれば、不要な解放工事を省ける仕組みだ。

現役工務監督から見ると——準備と省略の実務

定期検査と中間検査で最も大きく異なるのは、機器を開放する範囲だ。当然、定期検査の方が範囲が広く準備は大変になる。入渠期間も長く、準備しておく部品の点数も多い。

ただし、長年にわたり何隻もの定期検査を経験してきた今は、概ね形が定まっている。イチから構築するわけではないので、大変ではあるが無茶苦茶大変というわけでもない——というのが正直なところだ。

検査の省略については、活用できるものは積極的に活用している。整備記録・運転記録を提出して開放を省略することもある。省略が認められれば工程もコストも抑えられる。認められなければその分増える。

コメント