航行区域とは何か
船は自由にどこでも航行できるわけではありません。船舶安全法により、すべての水域は6つの区域に区分されており、船ごとに航行できる区域が定められています。この区域は船舶検査証書に記載されます。
6つの航行区域
①平水区域
湖、川、港内などの静穏な水域です。東京湾北部、大阪湾の大部分、瀬戸内海の一部なども含まれます。波や風の影響が少ない水域で、最も制限が厳しい区域です。
②限定沿海区域
平水区域から最強速力で2時間以内に往復できる沿海区域内の水域です。小型船舶に多い区分です。
③沿海区域
日本・樺太の一部・朝鮮半島の海岸から20海里(約37km)以内の水域です。内航船の多くがこの区域を航行します。
④限定近海区域
近海区域に該当する航行形態であっても、国土交通大臣が個別に航行海域を限定した区域です。
⑤近海区域
東経175度・南緯11度・東経94度・北緯63度で囲まれた水域です。マラッカ海峡からカムチャツカ半島までが含まれます。
⑥遠洋区域
すべての水域が対象です。世界中どこでも航行できます。
航行区域によって何が変わるか
航行区域が広がるほど、船に求められる設備や構造の基準が厳しくなります。具体的には以下のものが変わります。
救命設備は航行区域が広がるほど搭載数が増えます。無線設備も同様で、遠洋に出るほど高度な設備が必要になります。また設備の2重化が求められる場合もあります。船体強度についても、外洋に出るほど高い強度基準が課されます。
つまり、遠洋区域を航行できる船は、それだけ安全のための設備や強度が充実しているということです。
航行区域の変更——工務監督の仕事
航行区域は基本的には固定されていますが、状況に応じて変更が必要になることがあります。工務監督にとって、これは実務上発生する対応のひとつです。
パターンは大きく2つあります。
ひとつ目は、近海区域で建造した船を、普段は沿海区域の仕事をしているため沿海区域に落として運航しているが、近海区域での運航が必要になったため建造時の区域に戻すケースです。
ふたつ目は、沿海区域の船を他地域に回航するため、近海区域を一時的に通過しなければならないケースです。
どちらの場合も、工務監督は設備が航行区域の基準を満たしているかを確認し、必要であれば検査を受けるための準備をします。書類の手配、設備の確認、検査機関との調整——これらをスムーズに進めることが工務監督の腕の見せどころです。

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